英会話の最大手NOVAが、10/26(金)に会社更生法を申請し、事実上倒産してしまいました。社長の猿橋(さはし)望氏は、取締役会に出席せず、不在のまま解雇されたとのこと。

実は私、息子(7歳)をNOVAのキッズクラスに通わせておりまして、しかも三年分の授業料を前払いしておりました。
ここ最近の新聞報道でNOVAが倒産しそうだと感じて、気が気ではなかったのですが、とうとう現実のものとなってしまいました。

授業料の返金については、税金や社員の給料等に比べて弁済の優先順序が下ですので、あまり多くは期待できそうもありません。

それに、先に払った授業料がもったいない、と言うのもあるのですが、息子の英会話教育を明日からどうするか、というのも頭の痛いところです。(息子はNOVAに行かなくてもよいということで、至極ご機嫌なのですが・・・(^_^;


◆マーケティングで成功したNOVA

さて、このNOVAの倒産の背景について、「ビジネス的」に考えてみたいと思います。

会社更生法の申請に至った直接的な理由は、当座の資金繰りに困ったためです。

外人講師や日本人スタッフの給与の支払い遅延が続いたり、家賃が滞納して教室を閉めざるをえなくなったり、と言う状況がこの何ヶ月か続いていたそうで、その理由は手元の資金繰りに窮していたから。

ただ問題なのは、なぜ資金繰りに窮する事態になってしまったか、という点にあります。

NOVAは昭和56年の創業なのですが、積極的なテレビCMで急成長し、今では業界シェアの60%を押さえているそうです。

私は息子がNOVAに通っていたこともあり、「NOVAうさぎ」のキャラクターを使ったCM等に注目していたのですが、本当に素晴らしいマーケティング戦略でした。

恐らく前社長の猿橋望氏は、稀代の天才マーケターだと思います。氏の天才的な営業センス、マーケティングセンスにより、NOVAは短期間でここまで急成長したのです。


◆NOVAの倒産の背景

ところが急成長の裏側で、静かに転落の危機が始まっていました。

それは「内部体制の整備の遅れ」。

NOVAはもともと「低料金」と「駅前留学」の立地の良さをウリにしていました。

コストのかかる「駅前」に店舗を構えながら、「低料金」路線で勝負しているわけですから、それを実現するためには、内部的に不要なコストを抑えて、経費を圧縮する仕組みが必要です。

ところが猿橋望前社長は、こうした事業の基盤となるべき「低コストで会社を運営する仕組み」を構築する前に、いたずらに規模の拡大に走ってしまいました。

その結果、売上高経常利益率は、毎年1%前後で推移します。

そもそも英会話というのは労働集約的なビジネスで、必ず講師の人件費が発生します。この講師の経費をどう抑えるかが、会社経営上の大きなポイントになる訳ですが、利益率の低い状況の中、猿橋前社長が手をつけたのが、講師の削減でした。

asahi.comの記事によると、2003年から「教室数」と「受講者数」は増えているにも関わらず、「講師数」は減少しています。

生徒が増えて、講師が減っているわけですから、クラスはとりにくくなり、生徒の不満が高まっていきました。

そしてついに、2005年をピークに2006年から生徒が減りはじめ、資金繰りの悪化に輪をかけることになりました。


◆拡大の裏に潜む罠

それ以降も紆余曲折を経て、本日の倒産(会社更正法申請)に至ったわけですが、その原因は、「低料金」を掲げながら、それを実現する内部の仕組みを持たなかったことにあると思います。

「低料金」を実現するための「低コスト運営の仕組み」、すなわち経費を切り詰めた徹底的にスリムな業務運営を行う仕組みがあってこそ、初めて規模の拡大を追求できるのです。

店舗拡大に夢中になって命綱である講師の人件費に手をつける前に、それ以外の部分のコストを徹底的に切り詰め、効率的な業務運営の仕組みを作り上げることこそが、経営者に求められていたことだと思います。

弊社も、今回の事例を他山の石として、社内の体制整備に努めていきたいと深く感じました。

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